電波時計


今回の入院では、練馬の大学病院と神奈川の心臓の専門病院と2回も病院を変わったが、当然のことながら病院に入院していると、どこの病院でも、やたらと時間にうるさい。

「何時から診察で何分までに何処そこへ来い。」とか、「何時には清拭に来て、何時は薬を飲まなければならない。」などなどである。

しかし不思議な事に、どちらの病院も病室には時計が無い。
看護士に聞いてみると」「病人は時間を気にしてはいけないのですよ。」と窘められてしまった。

しかし、当前のことなのだが、約束の時間に遅れると、結構、看護士から怒られてしまう。
自分達から「時間は気にしないで。」などと言っておいて、不思議な話だ。

しかし、そういったことは別にしても、病院では、時計がないと結構不便である。
私は、夜は何回も起きてトイレに行く。

頻尿というのは、老人であれば当たり前の事かもしれないが、私の場合には、腎臓が一つしかないから、普通の人のように、人が活動している昼間の時間の中だけでは、きちんと血液が濾せないのだ。

それも私の摂眠障害の原因の一つになっている。

夜、起きてトイレに行くたびに、「何時何分と何分に、トイレに行った。」等等、メモをしっかりと取って、報告しなければならないのだよ。

それに、「朝の薬」・・とは言っても、朝の6時に飲まなければならない薬もある。
時間厳守なのだな!!

そうすると、病院の朝は早いのだが、それでも、6時頃では、看護師の人達も患者を起こさないように、そうっと、気をつけて病室に入ってくる。

その時に、ちゃんと起きていなければ、「朝の薬を飲まなければならないのだから、ちゃんと起きて於いてくださいよ。」と、看護師のお姉様に怒られてしまう。
いや〜、病人は辛い。

時々、患者さんの中で、看護師に不満を爆発させている人がいるが、幾ら、病院の看護師の大義名分が「自分の家族に接するように・・・」とはいっても、やはり患者は、所詮、他人であり、看護師も仕事なのだよ。

そこの所は、いたし方はあるまい。

だって、本当の自分の家族だって、今の時代では、そこまでの思いやりはねえ〜・・・?!

と言う訳もあって、「夜、消灯の後で、鬱で眠れない・・」と、時計が無いと言う事は、本当に辛い。

夜が永遠に続きそうな気がするからだ。

夜、病室も消灯時間を迎えると、部屋の中は結構真っ暗になる。

勿論、何か思いついた事があって、メモを取ろうと思っても文字などは書けない。

と言う事で、車用のペン先にライトがつくボールペンを買って来て貰った。
という事で、皆が寝静まった後でも、何とか、メモをとることができるようになった。


ピラミッドトークという音声で時間を教える時計です。


・・それと、私は結構目が悪いので、眼鏡を取ると、昼間でも時計の文字盤は読めない。

だから、日常生活の中でも、文字盤を読み取らなければならない腕時計は、したことは無い。

表向きの理由は、腕時計が楽器を傷つけるからであるが、本当の理由は、瞬間的に腕時計を見ても、針が見えることはないからである。

しかも、自宅では夜は明かりを消して寝るから暗い上に、目が覚めてもしばらくの間は目がボケてしまっていて、物がハッキリとは見えないので、時計の頭の上の部分を叩くと、女の人の声で時間を教えてくれる時計を使っている。

この三角形の時計は、ピラミッド・トークというセイコーの優れものである。

というか、この時計は1984年に発売されたものだが、私のお気に入りで、3、4個持っていて、30年近く経った今でも、まだ使用している。

実は、2009年にリニューアルしたピラミッドトークも持っていて、それも並行して使用しているのです。
携帯型の超小さな音声の時計も持っていたのですが、小さすぎて紛失してしまいました。

蛇足ですが、番外編で、ドラえもんの音声型の時計も持っていますが、男の人の声には反応しにくいのですよ。子供のために作られているらしく、音声の感度が女性の声には反応するのだけどね。
「お〜い、ドラえもん!今何時??」と訊くと、答えてくれるはずなのですがね??
「〜ン??何??」「なんか言った??」と返って来るのでね。                

しかし、そういった音声型の時計を病院に持って来るわけにはいかないのですよ。

病院の夜は、些細な音でも(病人だと特に)結構気になるので(うるさいので)、時計の針の刻む音ですら、同室の患者さんから文句が出るのですよ。

ましてや、音声で時間を教えてくれるタイプの時計では、とんでもない話でしょう。

私の場合には、夜はトイレに行く回数が人より多いのに、それに加えて脳梗塞や血管の詰まりを防ぐために、利尿剤が処方されていて、ひっきり無しにトイレに起きて通っているので、その都度、時間を確認しなければならないので、ただでさえ人に迷惑を掛けているのですよ。
迷惑がベッドに寝ているようなものです。

夜の電波時計
・・・という事で、私の弱い目でもはっきりと見えるように、ベッドサイドに置くタイプとしては思いっきり文字盤が大きくて、しかも、時計の頭部のスイッチを押すと文字盤に明かりのつく(しかも、その明かりは明るくひかるのと暗めにぼんやり光ったりと調整が出来る優れものだ。)、しかも、全く音のしない、電波時計を、先生に頼んで、買ってきてもらいました。

それは、文字盤も大きいし、明かりも薄らぼんやりとした明りで、カーテン一枚でも充分明かりを遮る事が出来て、病院では、とても、役に立って良かったのですが、病院から退院してきてからは、私はマンションの一人暮らしなので、誰に気兼ねすることも無く、必要な時にだけ、音声で時を教えてくれる時計があればよいので、文字盤の大きな時計も必要はなくなり、退院以後の病院での荷物を後片付けをしてくれる人もいないので、そのまま、病院から戻ってきた荷物の中に入れたままで、放ったらかしになっていました。

昼間の電波時計

病院を退院してから、1年ほど経って、ふと「病院で使っていた置時計なら、目で文字盤を見る事も出来るかな??」と、思いついて、そのままになっていた、病院の荷物の中から、電波時計を出して来て、ベットの傍に置いたのだが、明け方近くになると、ベッドの周りで、よくゴキブリがガサゴソ音を立てて這い回っているような音がする。

「このマンションには、ゴキブリは居ないはずだし、一体なんだろう。」と思っていたのだが、ある日、ふと思いついて、ガサゴソと音がしている時に、時計を手に取って見てみると、秒針がすごい速度でぐるぐる回っている。
時間の調整が出来なくって、何度も24時間をぐるぐる回っているのだ。
その音が、ちょうど、まるで畳の上を這い回るゴキブリの音とそっくりなのだ。
理由は至極簡単で、自宅の部屋の中は電波の状態が余り良くなく、そのために電波時計が何度も時間の修正をしているのだ。

部屋の中で、何とか電波の状態の良い所を探して、彼のために置き場所を作ってあげた。
今は、落ち着いて余生を送っているよ。

「余生・・??」

 ・・・フン!!
・・・俺が、じゃないよ! 
電波時計の話だよ!
あたしゃ、まだ、この時間でも、仕事をしているよ。
フン!  ヽ(`Д´)ノ

                                   06年9月5日江古田の自宅にて